梨状筋症候群

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梨状筋症候群とは何か

梨状筋症候群とは坐骨神経痛を引き起こす原因疾患の一つだと考えられています。

梨状筋症候群の自覚症状から説明しますと、合同会社腰痛治療ナビに寄せられるものでは

  • お尻の裏側にピリッと神経痛のような痺れが走る
  • 太腿の裏側にピリッと神経痛のような痺れが走る
  • 膝裏~脹脛裏にピリッと神経痛のような痺れが走る

如何でしょうか。症状だけで見ればまさに坐骨神経痛そのものです。

こういった背景からも、やはり梨状筋症候群とは「坐骨神経痛の1パターン」と考えて問題はないのかもしれません。

ただし、大切な事は「坐骨神経痛の1パターン」である事ではありません。

あくまで大切な事は「梨状筋症候群の仕組みの理解」にあります。

今、身体に起こっている状況の把握ができて、初めて有効な対策を検討する事ができる訳です。

そこで、まずは梨状筋症候群が起こるとされる基本的な仕組みについての説明をしていきます。

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梨状筋とは臀部の深層筋であり、坐骨神経の真上を走っている。

梨状筋症候群を理解する為には、臀部周辺の筋肉を理解する必要があります。

梨状筋症候群とは「梨状筋」単体で起こりうるものではないからです。

ですので、まず初めに梨状筋周辺の臀筋を含めた解説から行います。

  • 大臀筋 : 臀筋の中で最も大きく、外側の筋肉です。
  • 中臀筋 : 大臀筋の一つ下にある筋肉です。
  • 小臀筋 : 中臀筋の一つ下にある筋肉です。
  • 梨状筋 : 小臀筋の一つ下にある筋肉です。

梨状筋症候群が起こる原因はこれらの4つの筋肉の関係からと考えられています。

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大臀筋について


  • 【役割】:足の後方振り上げ (股関節の伸展)
  • 【起始】:①腸骨背面の後殿筋線 / ②仙骨と尾骨後面 / ③仙結節靭帯
  • 【停止】:①そけい靭帯 / ②大腿骨の殿筋粗面
  • 【支配神経】:下殿神経

大臀筋は「ヒップライン」を整える筋肉として、女性には比較的知られているかもしれません。

大臀筋がたるんでしまうと、お尻が垂れ下がってしまう為に、多くの運動プログラムでも、この大臀筋のトレーニングは組み込まれています。

ですが、この大臀筋の主な働きは股関節の伸展、つまりは「足を後ろに振り上げる」動作です。

そうなのです。座りっぱなしが多い現代社会において、最も使わなくなってしまった筋肉の一つと言えるのです。

梨状筋症候群の入り口は、「大臀筋の衰え」と考えられています。

使われなくなった大臀筋が弛緩状態に陥り、「機能不全」を起こしてしまうのです。

その場合、今まで大臀筋が担ってきた役割はどうなるのか・・・・

そうなのです。

大臀筋の下位筋肉ともいえる「中臀筋」と「小臀筋」、そして「梨状筋」が大臀筋の分も頑張ろうとしてくれるのです。

これを「関連筋肉の代替機能」と呼びます。

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中臀筋について


  • 【役割】:足の側方振り上げ (股関節の外展)
  • 【起始】:腸骨の前後殿筋線の間
  • 【停止】:大転子の外側面
  • 【支配神経】:上殿神経

中臀筋とはまさにその名が示すとおり、臀筋群の中で真ん中に位置する筋肉です。

大臀筋が足を後ろに振り上げる運動であるのに対し、中臀筋の主な運動とは足を側方に持ち上げる運動(大腿外転)となります。

ですが、大臀筋がその機能を停止してしまっている場合は、従来の役割に加えて、大臀筋の役割も果たそうと頑張ります。

ですが、筋肉の付着部位が近いとはいえ、元々の役割の運動方向性からして異なる筋肉ですので、いつまでもカバーし続ける事は無理です。

徐々に疲労を蓄積していってしまい、最終的には悲鳴をあげてしまいます。

そして、中臀筋は「過負荷」によって機能不全に陥り、カチコチに筋肉が凝り固まってしまうのです。

大臀筋と中臀筋のいずれもが機能不全に陥った場合、中臀筋と一緒に大臀筋のカバーをしていた「小臀筋」「梨状筋」が何とかしようと無理を重ねていきます。

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小臀筋について


  • 【役割】:足の側方振り上げ (股関節の外展)
  • 【起始】:①腸骨の前 / ②下殿筋線間
  • 【停止】:大腿骨の大転子
  • 【支配神経】:上殿神経

臀筋群の中で最も深層を走る臀筋が「小臀筋」です。

この小臀筋はインナーマッスルと呼ばれる筋肉の為、大臀筋や中臀筋のように、主導筋として大きな力を発揮する筋肉ではありません。

そもそもがサポート役としての役割を与えられた筋肉です。

ですので、余り大きな負荷に耐えられるものではないのです。

その為、中臀筋が機能不全に陥り、何とか「小臀筋」と「梨状筋」で代替機能を果たそうと頑張るのですが、残念ながら比較的早い段階で限界を迎えてしまい、この小臀筋もまた、機能不全に陥ってしまいます。

その時にやはり小臀筋も凝り固まってしまうのですが・・・・

大臀筋が弛緩、機能不全となり、中臀筋が凝り固まり、更に小臀筋までもが凝り固まり。

この段階で坐骨神経痛を自覚する人が増えてきます。

一体、どのようにして坐骨神経痛が起こったのか。それは上から覆いかぶさる「臀筋群」に原因があったのです。

元々、臀筋群はゆとりのあるスペースに3重に重なっているわけではありません。むしろ少し窮屈な状態にあります。

そんな状態にある臀筋の内、中臀・小臀筋がカチコチに凝り固まり、「収縮硬直」を起こしてしまっているわけです。

平たくいえば、最も最下層にあり、坐骨神経の真上を走っている梨状筋を上から2段階圧迫をしているようなものなのです。

結果、梨状筋自体が悲鳴をあげている訳ではないのですが、その上を走る臀筋が悲鳴を上げ、梨状筋に圧力をかける。

つまりは

「押しつぶされる」ような形で梨状筋が坐骨神経を圧迫してしまう。

この結果、生じる坐骨神経痛が「梨状筋症候群」と呼ばれる神経痛症状なのです。

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梨状筋について


  • 【役割】:①大腿部の外側への旋回 ②大腿部の外転補助 ③股関節の固定
  • 【起始】:①骨盤前仙骨孔縁 ②腸骨大坐骨切痕
  • 【停止】:①大転子の上縁
  • 【支配神経】:坐骨神経叢(梨状筋枝)

「大臀筋」「中臀筋」「小臀筋」からなる臀筋群の更に下を走る筋肉が梨状筋です。

梨状筋はそもそもが主導筋として積極的な機能発揮をする類の筋肉ではなく、臀筋群を補助する補助筋としての役割を果たします。

いわゆる「深層筋」や「インナーマッスル」と呼ばれる類の筋肉です。

そして、坐骨神経はこの梨状筋の真下を走っている筋肉です。

梨状筋症候群とはその名称が示している通り、この梨状筋が坐骨神経を圧迫する事によって起こる神経痛症状です。

では、その神経圧迫はどのようにして発症するのか。

繰り返しになりますが、再度説明をします。

そもそも、現代社会の生活において、日本人はデスクワークが極端に増えてしまい、結果として大臀筋を使うことが圧倒的に少なくなっていきました。

大臀筋は足を後方へと振り上げる運動、いわゆる「昇降運動」等の際に多用される筋肉だったのですが、「エレベーター」「車」「電車」などの交通機関や移動手段の発達によって、その活躍の場がどんどん失われていってしまったのです。

そして、働く場所を失った大臀筋は徐々に緊張を失い、弛緩状態へと陥ります。

「でも、使わない筋肉だったら別にいいんじゃない?」

そういった意見もあるかと思いますが、人間の身体はとても複雑にできており、ある運動において主導的な役割を果たす筋肉が別の運動の際には補助的な役割を果たすという「バランス」の上に人間は成り立っているのです。

そのバランスが崩れてしまう事によって、徐々に他の筋肉にも影響が及んでいくのです。

大臀筋の場合、その影響を真っ先に受けるのは「中臀筋」となります。

中臀筋が大臀筋の代わりとして代替機能を発揮するのです。

ですが、元々の役割に加えて、上位筋ともいえる大臀筋の仕事を一部負担する訳ですから、そう長く持ち堪える事はできません。

中臀筋はその「過負荷」状態に徐々に悲鳴を上げ、最終的には凝り固まってしまいます。

すると・・・・・

今度はその下層にある「小臀筋」が同じように「大」「中」の臀筋の分まで頑張って補おうと代替機能を発揮します。

当然、中臀筋でも支えられなかった負荷を下位筋の小臀筋が支えられるわけがありません。

やはり中臀筋と同じように徐々に過負荷に耐え切れず、悲鳴をあげ、凝り固まってしまいます。

この中臀筋、小臀筋が凝り固まってしまった結果、その更に下層を走る梨状筋に何が起こるのか。

臀筋群による梨状筋圧迫

これが起こります。凝り固まり、肥大をした中・小臀筋が下を走る梨状筋を圧迫するのです。

上位筋ともいえる大きな二つの筋肉が凝り固まり、上から覆い被さってくる。

深層筋でそれ程強い筋肉ではない梨状筋は下へ下へと押し込まれてしまうのです。

そして・・・・梨状筋の下にあるものは・・・

坐骨神経

という訳です。

この結果、押し出されてきた梨状筋によって坐骨神経が圧迫され、坐骨神経痛が発症する。

これが梨状筋症候群のメカニズムと言えるのです。

梨状筋の症状は一般の坐骨神経痛と何ら変わりありません。

それもそのはずです。何故なら坐骨神経を圧迫しているのですから。

大切なものは「どのようにして、この症状が起こったか」という原因の追究です。

同じ症状であっても、そのプロセスによって適切な対処法は変わってきます。

最適な治療法を見出すには何が大切なのか。

梨状筋症候群の場合も、他の場合と全く同じです。

  • 梨状筋症候群の仕組みを学ぶ
  • 自分の身体の状態を学ぶ
  • 症状発症のプロセスが把握できたら、最適な治療法を模索する。

極めて単純な、この段階を踏む事が何より大切なのです。

敵を知り、己を知らば百戦危うからず。

やはり、「梨状筋症候群」についても、この言葉はピッタリ当てはまります。

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